パーティーには遅れて参加がマナー

フランスに移住したばかりの頃、彼らの遅刻癖には衝撃を受けました。だって、ホームパーティーに招いても、みんなほぼ100%遅れてくるんですもの。「まさか時計を持っていないの?」なんて疑ってしまいましたが、実はフランスではパーティーや集まりには「5分~20分程度遅れたほうが良い」とされているのです。

時間の感覚も異なるため、フランス人に「あと5分で着くから」と言われたときは、30分ほどはかかると思ったほうがいいでしょう。日本人からするとなぜ???と思うマナーですが、どうやら家主に慌てて準備させないよう気を使っているらしいんですの。ともあれフランスにいるときはフランス流のルールに従うのがベターですわ。ただし、お仕事のアポイントやツアーの集合時間は厳守ですわよ!

ラテンチームとのツアーはハード

そうそう、ツアーといえば面白い話がありました。仕事でヨーロッパから日本へのツアーを計画していたときのことですわ。イギリスやドイツのグループから「ラテンチーム(イタリア、スペイン、フランスのグループ)とは同じバスにしないでくれ」と懇願されたことがございました。

理由を聞くと、遅刻組がいると本来のコース通りに巡れないからですって。いくらなんでもツアーで遅刻することはないでしょう…と軽く聞き流した私ですが、結果は彼らの言う通り。初日の30分の遅刻から、次第に1時間、 3時間…と、どんどん集合が遅れていくではありませんか。どうにか予定通りに進めるべく、スタッフ一同てんやわんやでした。

しかし、遅刻の影響で見られない場所も出てきて反省したのか、帰りの空港ではみな5分前行動に。帰りの便に全員乗れるかを心配していましたが、そちらは杞憂に終わりましたわ。どうせならツアー中から急いでくれよ!とツッコむジャンビエでございました。トホホ。

レディーファーストでがっかりされる?レストランのマナー

最近は少しずつ変わってきましたが、日本の宴会の席では女性がお酒を注ぐ機会がいまだにありますわよね。一方フランスでは食事中のサービス、とくにワインや飲み物を注ぐのは男性のお役目。女性にワインを注がせている男性も、男性にワインを注いでいる女性も、ちょっぴりヒンシュクものですわ。一人で食事をしているときを除いて、女性が自分でワインをグラスに注いでいるのも、周りからの目は良くありませんのでご注意を。個人的には、手酌で豪快にワインを飲む女性って素敵だと思うんですけどね。

ちなみに、レディーファーストなイメージのあるフランスですが、お店やレストラン、公共の場に入るときに“女性から入らせる”のはNGですわ。とくに予約を入れているレストランなどは、男性が先に入って内容も男性が確認するほうがスマートですのよ。先にどうぞ~としたあかつきには、「なんて不甲斐ない方なのかしら」と幻滅されてしまう可能性が大ですわ!

お席についても日本とは考え方が大きく異なっていて、奥の席に上司や目上の人を座らせる日本とは違い、フランスでは眺めの良い席や奥の席にはまず女性を座らせるのが一般的です。日本人男性の皆さま、フランス旅行中はガールフレンドやパートナーをさりげなーく良い席にエスコートしてくださいませ!

日本ではちょっと不審?ドアを開けて待つ習慣

ドアを開けて自分が通り過ぎたら、さっさと立ち去る──それ、フランスではかなりのタブーでございますわ。後ろから誰かが、とくにお年寄りや子供、女性が来ている場合は扉を開けておいて待つのがマナーですの。

私としてはフランスのマナーの中でもとくに好きな行いですが、国によってはいろいろと感じるところがあるようで。在仏40年の友人が日本に帰国したときについクセでドアを開けてかなり遠くから来る女性を待っていたところ、女性から「どうして待っているんですか?」と不審がられたそう。「聞いてよ、下心のある変なオジサン扱いを受けたんだ」なんて、かなりのショックを受けていましたわ。最初は同情しましたが、うーん、あまり長く待っているのもやっぱり変かしら……?相手を急かしているようにも見えますしね。

とにもかくにも、フランスでは男性が扉を開けて待っているのは自然な行為ですわ。女性側はにっこり笑顔で、「merci!(メルシー:ありがとう)」と伝えましょう。その彼が素敵だったら、そこからお話を弾ませてもいいですわね。

人前で鼻をかんでも、くしゃみはしない

花粉症や風邪が流行る季節になっても、フランスでは鼻をすする人を見ません。なぜって?公共の場でも豪快にブーーーッと鼻をかむからです。ひと昔前はハンカチで鼻をかんでそれをポケットに入れている風景をよく見ましたが、最近はポケットティッシュ派も多いようですわ。いずれにせよかんだものをポケットに入れて、何度も同じもので鼻をかむわけです。最初はかなりのカルチャーショックを受けましたが、フランス人にとっては鼻をずっとすすっているほうが不思議なんですって。文化の違いって面白いですわね〜。

反対に、人前で大きなくしゃみをしません。万が一出てしまったとしても、ギリギリまで我慢してそれはそれは小さな音でくちゅん、です。あんなに大きな音で鼻をかんでいるのに!というか、コントロールできないくしゃみこそ出ても仕方ないのではないかしら?ティッシュで口を覆って音を抑えたらどう?なんて余計なお節介まで浮かんでしまうのでした。

ちなみに、ラテンの血が流れるフランス人は“カッと怒ってすぐに忘れる方”が多いように思います(もちろん個人差はありますけどね)。良く言えば楽天的、悪く言えばいい加減。まさにラテンの性質ですわね。

基本的に平和主義なのでネチネチと批判したり、人前で怒鳴ったり、説教したりといった好戦的な態度を好みませんわ。街中でそのような行動を目の当たりにしたときの冷たい視線たるやすごいもの。カップルで旅行中、相手にカッとしても街中では怒鳴らずにガ・マ・ンですわよ!

異文化への理解と尊重を

国によって、マナーやルールはさまざまですわ。どの国が良い・悪いではないからこそ、海外に行くときにはその国の文化や慣習を理解して敬う姿勢って必要だと思いますの。異文化への理解が深まれば、きっと海外の生活も旅行もさらに豊かな時間になるはずですわ。

「マダム・ジャンビエのそれってケス・ク・セ?」はこれでおしまい。
またどこかでお目にかかりましょう。
Excellente soirée! あなたにとって穏やかで明るい毎日でありますように。