最近はオシャレなスリが多い

突然ですが、みなさまは「スリ」と聞いてどのような恰好をイメージされますか?怪しげな黒づくめ?破れたボロボロのシャツ?いえ、近頃は大人のスリも子どものスリも小綺麗な見た目をしていますのよ。「あら素敵なお召し物ね。どこで買われたの?」なんて声をかけたくなるオシャレなスリもいるほど。現地の人であれば見抜けるでしょうが、観光客にとってスリか否かの判別はかなり難しいでしょうね。

だからこそ、スリを避けるためには彼らの特徴的な行動パターンを把握することが大切ですの。まず、「数人で大きなカバンを持ち、混んでいる電車に乗ってくる」グループには要注意。もしも同じ車両になってしまった場合は、別の車両へと移動した方が良いでしょうね。車内が混んでいて移動が叶わない場合は、カバンや貴重品を体にくっつけてしっかりと抱えること。チャックがあるカバンの場合は、開口部に手をかけて開けられないようにしておくことが大切ですわ。

パリ地下鉄で遭遇!子どもだけのスリグループ

実際に、私の友人の中にもメトロ(パリの地下鉄)で子どもだけのスリ軍団に狙われたレディがいますのよ。彼女は被害に気づいた瞬間に子どもたちを指さし、日本語で「取ったのはあんた?それともあんたかい?」と名刑事ばりの尋問をスタート。あまりの気迫に圧倒されたのか、子どもの一人が恐る恐る財布を取り出しましたの。驚くのはこのあと。なんと、彼女は「そんなことしていちゃ人生ダメになっちゃうよ」「真っすぐに生きなさいね」と、スリ相手に愛のこもったお説教まではじめたのですよ。

とはいえ、スリと積極的に関わるのは好ましくありませんわ。彼女は運良く無事でしたが、最近は凶器を持っているなど、暴力的な子どものスリも増えています。鋭い視線を向けながら、「私に隙はありませんことよ」という強固な態度をアピールする程度がベストでしょうね。

役割分担のあるスリグループ

エッフェル塔やオペラ座などの観光地で多いのが、アンケートや署名を求めてきたり、地図を広げて道を聞いてきたりする“頼み事をしながら”のスリ。気を逸らす役、盗む役、周囲を監視する役といったようにグループ内で役割分担がされていますのよ。なんと姑息なのかしら。

「アイスクリームやコーヒーをわざとかけ、謝りながら拭いている一瞬で貴重品を盗む」「『写真を撮ってあげる』と親切そうに近づき、ポーズをとっている間に荷物やカメラを盗む」なんてケースもございますわ。これらはスリグループの常套句なので、持ち物から意識が離れないように注意しましょう。もしも大切なお友達がアイスクリームをかけられたら…そう、あなたは“役割分担”に則って、お洋服を拭いてあげるよりカバンや貴重品を守る係に徹しましょうね。

不自然な荷物検査には「警察を呼びます」で応じるべし

日本でいう職務質問のように、警察官らしき人から「荷物の中を見せろ」と言われるパターンもありますが、素直に荷物を見せてはいけませんわよ。もしかすると、正義感に溢れた瞳を持つように見える彼は、あなたの荷物を狙うスリかもしれません。

こうした因縁をつけるスリに遭遇したときは、とにかく「警察を呼びますね」と応じましょう。だって、やましいことがなければなにも問題ないはずですものね。近くの駅やお店の人に助けを求め、立ち会ってもらうのも効果的ですわよ。きっとほとんどの犯人が足早に去っていくはずですわ。ちなみにフランスで警察を呼ぶ際の電話番号は「17」。覚えておいてくださいませね。

スリに遭わないおまじないをもう一度

基本的に“すられた荷物は戻ってこない”と思っておいた方が良いですが、中には犯人が捕まって荷物が戻ってくるケースもありますわよ。数年前、スリにあったというおじさまを近くの警察署へご案内したときのこと。運良くその警察署に犯人が捕まっていて、取られた財布も中身も丸ごと戻ってきたことがありましたの。なんてラッキーなおじさまなのかしら!

しかし、残念なことにこんなケースは非常に稀ですの…。みなさまには耳にタコができるほど言っていますが、もう一度だけ。「常に貴重品を肌身離さず持っておく」「リュックサックや口が開いているカバンに貴重品は入れない」を徹底してくださいませ。

次回はフランスのとっても美味な「牡蠣」について、じっくりとお話させていただく予定ですわ。

今宵はこれでおしまい。
Excellente soirée! あなたにとって穏やかで明るい毎日でありますように。