社会保険料の種類

給与明細の項目 早見表

社会保険は、病気や怪我、失業、介護など、生活を送る上で予測できないリスクに備えるための公的な保険制度(社会保険)のことです。加入者が保険料を支払うことで、それを財源に必要なときに必要な人が保険給付を受けられるしくみとなっています。雇用保険を例にとると、「会社を退職して再就職しようと活動しているが、なかなか次の就職先が見つからない……」という場合に、要件を満たせば「失業給付」が受給できます。

社会保険料とは、「健康保険」「介護保険※」「厚生年金保険」「雇用保険」にかかる保険料の総称です。ここでは、「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」の3つの保険について、それぞれどのような目的の制度なのか、どのように計算されているのか詳しく見ていきましょう!

※介護保険は40歳以上の労働者に支払い義務が生じるため、ここでは割愛します。詳しく知りたい人は、厚生労働省のHPよりご確認ください。




健康保険

病気や怪我、休業、出産などに備える公的な医療保険制度です。これにより、病院で支払う費用の負担が一部軽減されたり、高額な医療費が発生した際には一定額を超えた分があとで払い戻されたりします。
会社に勤めている人(75歳未満)は原則として加入し、会社と折半して保険料を支払います。健康保険には「健康保険組合」と「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の2種類があり、前者は主に大企業が、後者は主に中小企業が加入しています。保険証の下部に記載されている「保険者名称」から、自分の勤めている会社がどちらに加入しているかを確認できます。

健康保険料の計算方法 負担する健康保険料=(標準報酬月額×健康保険料率)÷2 「標準報酬月額」とは、月収を一定の範囲ごとに区分した時に該当する金額のことです。この「標準報酬月額」に「健康保険料率」をかけた金額を会社と従業員で折半して負担します。本人と会社の負担割合は加入する健保組合によって相違する場合があります。



厚生年金保険

厚生年金保険の適用を受ける会社に勤める70歳未満の人が加入する公的な年金制度です。年金とは、年を取ったり、健康状態に問題が起こったりしたときにも安心して生活できるようにお金を受け取れるしくみです。日本では、万が一の場合に備えられるように20歳以上60歳未満のすべての人に「国民年金」への加入が義務付けられており、「厚生年金保険」はこれに上乗せされる仕組みとなっています。国民年金とともに原則として65歳から受け取れます。保険料は、健康保険と同様に会社と折半して支払います。

厚生年金保険料の計算方法 負担する厚生年金保険料=(標準報酬月額×18.30%)÷2 「標準報酬月額」に「厚生年金保険料率」をかけた金額の半分を「厚生年金保険料」として、会社と従業員がそれぞれ負担します。保険料率は18.30%で固定されています。



雇用保険

雇用保険とは、失業した場合や育児・介護などを理由に休業する場合に生活の安定を図るための給付などを行う公的な保険制度です。
会社に勤めている人は原則として雇用保険の加入義務が生じ、保険料を支払います。保険料は会社と折半ではなく、会社と従業員それぞれに保険料率が設定されています。
なお、この雇用保険制度には「失業の防止」「労働者の能力の開発・向上」という目的もあり、これにより「教育訓練給付」という、働きながら学びたい人たちにとって強い味方となる給付もあります。詳しくは厚生労働省HPを確認してみてください。

雇用保険料の計算方法 負担する雇用保険料=控除前の総支給額×雇用保険料率 雇用保険料は、基本給ではなく「控除前の総支給額」に「雇用保険料率」をかけて算出します。
社会保険 厳密には健康保険、介護保険、厚生年金保険を社会保険(それにかかる保険料を社会保険料)とし、雇用保険と労災保険を労働保険(それにかかる保険料を労働保険料)と呼びます。ただし、給与明細には「社会保険料」として記載されることがほとんどなので、ここではまとめて社会保険料と覚えておきましょう。

まとめ

社会保険料の計算は基本的に会社が行うため、自分で計算することはありません。しかし、何がどれくらい控除されるのかを知っておくことで、控除額の変化や万が一計算間違いがあった際にも気づきやすくなります。複雑な計算が多く、難しいかもしれませんが、大まかな計算方法だけでも覚えておくといいですね!
次回は、社会保険料と同じく給与から天引きされる「税金」と、入社2年目の注意点について解説します!