給与明細の項目を確認しよう!

給与明細の項目 早見表

※本記事は一般的な事項の説明であり、給与明細の書式や並び順、表示される項目名等は勤務先により異なります。

まずは、給与明細の項目には何があるのか、見てみましょう。「勤怠」「支給」「控除」「差引合計(差引支給額とも)」の4つの項目がありますね。

給与明細にはどんなことが記載されている?

給与明細

では、給与明細にどのようなことが書かれているのか、Aさん(4月入社、1年目、東京都在住、フルタイム勤務、年収300万円)が受け取った給与明細を見ながら確認してみましょう。

勤怠とは

勤怠の項目には、会社で決められた労働日数や実際に出勤した日数、労働時間、残業時間などが記載されています。

勤怠について 労働日数 出勤日数 勤務時間

労働日数は会社で決められた月の勤務日数です。Aさんは対象となる月は全て出勤しており(=20日間出勤)、勤務時間は20日×8時間=160時間になります。

勤怠について 残業時間 深夜残業時間

10時間の時間外勤務(残業)と4時間の深夜勤務(深夜残業)をしているので、それぞれ時間が記載されています。

勤怠について 有給日数 有給残

有給休暇は、入社してから半年後に付与されるため、入社1年目7月時点では0日です。

「勤務日数が1日少ない」「深夜残業時間が記載されていない」など、実際の勤務と明細の数字に違いがあれば、所属部署や人事部などに確認してみましょう。

支給とは

支給の項目には、基本給や資格手当、残業手当(残業代)といった、いわゆる「額面給与」(控除前の総支給額)の金額が記載されています。

支給について 基本給 役職手当 資格手当

Aさんの基本給は220,000円で、役職手当や資格手当はありません。

支給について 残業手当 深夜残業手当

残業手当(深夜残業手当)は、時給×労働時間×割増率▽で計算します。Aさんの場合は、次のような計算となります。
・時給:基本給÷勤務時間=1,375円
・残業手当:1,375円×10時間×1.25=17,188円
・深夜残業手当:1,375円×4時間×1.5=8,250円

割増率について 残業手当は、一日の所定時間である8時間を超えた時給に1.25(休日出勤の場合は1.35)をかけた額です。深夜残業手当は22時~翌5時までに働いた時給に1.5(残業手当に0.25を足した割増率)をかけて計算します。
支給合計

基本給と残業手当を合計した245,438円が総支給額となります。

基本給と諸手当の合算は正しいか、残業手当の金額は正しいかなどをしっかり確認しましょう。

控除とは

控除の項目には、社会保険料や税金が記載されていますね。
社会保険に関しては「第2回」、税金に関しては「第3回」の記事で詳細を説明しますので、今回は概要を説明します。

まず、社会保険の欄を見てみます。社会保険料とは「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」「雇用保険」の総称です。
※「労災保険」も社会保険の一つですが、労災保険は会社が全額負担することとなっているため、給与から控除はされません。

控除について 健康保険 介護保険 厚生年金保険 雇用保険 社会保険料計

健康保険、介護保険、厚生年金保険はいずれも給与額に応じた「標準報酬月額(一定の幅で区切られた等級ごとに定められた額)」をもとに保険料が決められています。これらの保険料は一般的に半分を会社、半分を本人が負担することとなっています。
ただし、介護保険は40歳以上の労働者に加入が義務付けられているものであるため、Aさんの介護保険欄は「0円」と記載されています。
一方、雇用保険は厚生労働省が定める保険料率にしたがって計算されます。

それぞれの金額は次の計算のとおりです。
・健康保険:基本給22万円の場合、保険料は22,000円、会社と折半するためAさんの負担は11,000円
・厚生年金保険:保険料は40,260円、Aさんの負担は20,130円
・雇用保険:控除前の総支給額に0.006▽をかけた額で245,438円×0.006≒1,473円

標準報酬月額 月収を一定の範囲ごとに等級に分けて表したもの。厚生年金は1|32等級、健康保険は1~50等級に分けられます。 雇用保険料率 厚生労働省により、年度ごとに定められる雇用保険料の割合。労働者と事業主負担ががあり、折半ではなくそれぞれ保険料率が異なります。令和5年4月1日~令和6年3月31日までは、労働者負担は6/1,000(=0.006%)、事業主負担は9.5/1,000(0.095%)です。
所得税 住民税

次に税金の欄を見てみましょう。

所得税:「収入(給与や事業によって稼いだお金等)」にかかる税金で、毎月の所得税は税額表(給与所得の源泉徴収月額表)に基づく概算の税率で計算されます。正しい所得税は、年に一度行われる「年末調整」で各種控除などを計算して、調整計算する仕組みになっています。

もっと知りたい 所得(給与収入と給与所得の違い) 給与収入はいわゆる年収のことで、「給与や賞与等の受け取った総額(合計収入)」です。金銭で受け取るものの他、低価格や無償で受け取った会社の商品なども含まれます。一方、給与所得は「年間の給与の合計収入」から「給与所得控除(サラリーマンの”経費”を考慮し、一定額を差し引く制度)」を引いた金額です。所得税の計算では、「給与所得」をベースに税額が産出されます。

住民税:前年の課税所得金額をもとに計算される税金で、自治体によって異なります。前年の所得が103万円以下であれば発生しません。このため、社会人1年目の人は住民税が発生しない場合が多いですが、アルバイトや副業などをたくさんしていた人は注意が必要です。

総控除額 37,353円

社会保険料に所得税を加えた37,353円が総控除額です。

差引合計とは

差引合計とは、総支給額から総控除額を差し引いた、いわゆる「手取り給与」のことです。

支給計245,438、控除計37,353、差引合計208,085

総支給額は245,438円、総控除額は37,353円なので、差引合計は208,085円となります。

交通費や備品購入費などの経費は給与明細に記載されないこともあります。別日に支払われる場合は分かりやすいですが、給与支給日と同日に支払われる場合は「差引合計」と「経費」を合算した額が振り込まれているかを確認しましょう。

ちなみに、一人暮らしを始める際によくいわれる「給与の○○%が家賃相場」の「給与」とは、差引合計を指すことが多いようです。額面ではなく差引合計(=手取り給与額)がいくらかという考え方を持っておくと、他の場面などでも使えるかも!

まとめ

給与明細は自分が働いたという“証明書”です。最初は何が書いてあるのかわからないかもしれませんが、それぞれの項目の意味を知ることで給与の仕組みが理解できるはず。「もらえる額が増える=税金や保険料も増える」といったことも念頭に置いて、毎月の給与明細をチェックしてみてくださいね!
次回は、控除に注目し、社会保険料の詳しい内容や計算方法について解説します!
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