「クルマを買うお金」と「買ったあとにかかるお金」

車が並んでいる様子

クルマにかかるお金は、大きく二つに分けられます。「クルマを買うお金」と「買ったあとにかかるお金」です。「クルマを買うお金」は、新車なのか中古車なのかで大きく違いますから、まず考えるべきは「買ったあとにかかるお金」です。購入後に必要なお金をリストアップすると、以下のとおりです。

■税金(自動車税、軽自動車税、自動車重量税)
■保険(自賠責保険、自動車任意保険)
■点検整備代(法定点検、車検、消耗品代)
■燃料代
■駐車場代

自動車税(軽自動車税)は年に1回、重量税は車検ごと……と、発生する頻度はそれぞれ異なりますが、これらを一つひとつ積み上げていき、月々に換算すれば、維持費の目安がわかります。

コンパクトカーひと月あたりの維持費をシミュレーション

コンパクトカーのイラスト

ここでは排気量1.0リッター、車両重量1トン未満、2019年10月~2023年4月初度登録、エコカー減税なしのクルマをモデルケースとして考えてみます。

自動車任意保険は加入するプランや条件で、整備代は部品交換の状況などにより、燃料代は走行距離で、駐車場は環境によりそれぞれ異なりますが、「だいたいこれぐらい」という金額を仮定します。

維持費(年間)

■自動車税:2万5000円/1年
■自動車重量税:1万6400円/2年
■自賠責保険:1万7650円/2年
■自動車任意保険:6万円/1年(車両保険なし)
■法定点検:3万円/1年
■車検:15万円/2年
■燃料代:8500円/月(800km走行、燃費15km/L、ガソリン160円/Lで計算)
■駐車場代:1万2000円/月

それぞれを月あたりに換算すると、次のとおり。

維持費(月あたり)

■自動車税:2083円/月
■自動車重量税:683円/月
■自賠責保険:735円/月
■自動車任意保険:5000円/月
■法定点検:2500円/月
■車検:6250円/月
■燃料代:8500円/月
■駐車場代:1万2000円/月

合計すると、ひと月あたり3万7751円。

月4万円弱がコンパクトカーの維持費として必要な金額だといえます。もちろん、駐車場が不要な場合や走行距離が少ない(=燃料代が少ない)場合は、もっと安価に維持できますし、反対に駐車場や燃料代、保険料がこれよりも高くなる場合もあります。

軽自動車ひと月あたりの維持費をシミュレーション

軽自動車のイラスト

次に、軽自動車の維持費を計算してみましょう。同じように、2019年10月~2023年4月初度登録、エコカー減税なしをモデルケースとします。

軽自動車では、税金や保険料が普通車よりも少しずつ安くなります。ただし、燃費に大きな差はなく、今回はコンパクトカーと同値で計算しました。

維持費(年間)

■軽自動車税:1万800円/1年
■自動車重量税:6600円/2年
■自賠責保険:1万7540円/2年
■自動車任意保険:5万円/1年(車両保険なし)
■法定点検:2.5万円/1年
■車検:13万円/2年
■燃料代:8500円/月(800km走行、燃費15km/L、ガソリン160円/Lで計算)
■駐車場代:1万2000円/月

月あたりにすると、以下のようになります。

維持費(月あたり)

■軽自動車税:900円/月
■自動車重量税:275円/月
■自賠責保険:735円/月
■自動車任意保険:731円/月
■法定点検:2083円/月
■車検:5416円/月
■燃料代:8500円/月
■駐車場代:1万2000円/月

合計するとひと月あたり3万640円。

月あたりの維持費はコンパクトカーよりも1万円弱安いことがわかりました。「軽自動車の維持費が安い」とよく言われますが、実際に計算してみると、それがよくわかります。とはいえ、「それぐらいの差ならコンパクトカーのほうがいいな」と思う人もいるかもしれません。そこは、みなさんの価値観やライフスタイルによって様々です。

クルマの購入費用は?

値札が付いた車が並んでいる様子

ここまで、コンパクトカーと軽自動車の維持費をそれぞれ考えてきました。しかし、これは「購入後にかかるお金」であることを忘れてはいけません。実際には、ここに「クルマを買うお金」もかかってきます。

では、こう考えてみてはどうでしょうか?「月々使える予算が決まっているなら、それに合わせてクルマが選べる」と――。

たとえば、軽自動車の月あたりの維持費が3万円で、月6万円までクルマに使えるとしたら、月あたり3万円を車両購入に使えることになります。

単純に月3万円×60ヶ月のローンを組めば、180万円のクルマが買えることになります。実際には、頭金や5年後の下取り価格、あるいは残価、金利などを考慮する必要はありますが、「月3万円相当の負担」で乗れるクルマを探せばいいというわけです。

「このクルマ、月々いくらで買えるかな」ではなく、「月●万円なら、どんなクルマに乗れるかな」と、逆の発想で考えると、買えるクルマのバリエーションも変わってきます。たとえば、「月3万円程度の支払いだと、新車ならこんなクルマ、中古車ならこんなクルマが手に入るな」と考えてみましょう。

維持費がわかればクルマを買うのも怖くない

車の運転席にいる女性

購入後にかかるお金を月あたりに換算すれば、維持費の目安がわかります。また、維持費の目安がわかれば、そこから「自分に買えるクルマ」の金額の見当をつけることもできます。

漠然と、「維持費がかかるから手を出すのが怖い」と思わずに、今回計算した維持費の目安と、自分が負担できる金額を考えてみることで、買ってから「こんなはずじゃなかった」というミスマッチもなく、安心してクルマを所有できるでしょう。


文・木谷宗義/type-e、編集: type-e