レビュー
スポーツは冷静に考えると、非常に不思議なものである。私たちは幼少の頃から、さまざまなシチュエーションでスポーツに関わる。競技者として長くスポーツに携わる人はごく少数だが、観戦も含めればかなりの人数が、成人したあともスポーツに触れていると言える。
観戦する立場から見たスポーツは、極論すれば一種の娯楽にすぎない。しかしスポーツに取り組む人びとの情熱や技術は、観ている人を強く惹きつける。スポーツのなかに哲学や人生を見出す人もいるほどだ。だからこそスポーツ業界はここまで大きくなったのだし、これからも成長していくのだろう。
そんなスポーツを取り巻く光景は、デジタルテクノロジーの発展に伴って、いま大きく変わろうとしている。タイトルにもなっている「スポーツ2.0」とは、スポーツの生産と体験がアナログからデジタルに変化する過程を表す言葉だ。競技者と観戦者のどちらの立場から見ても、もはやデジタルテクノロジーと関わらないスポーツはほとんどない。ならばデジタルテクノロジーの発展に伴い、スポーツを取り巻く環境や習慣も、必然的に大きく変わっていくはずである。
本書はいま話題のeスポーツも含め、スポーツのこれからのあり方を大胆に描き出している。2020年に東京オリンピックを控えているいまだからこそ、ぜひお読みいただきたい一冊だ。スポーツに対する認識が――そしてデジタルゲームに対する認識が――ガラッと変わることを保証する。