一般教養として身につけておきたい「お寺と神社の違い」をピックアップ。何を信仰し、何を祀っているのか。さらにお参りをする際のマナーなど、今さら聞けない基本的な情報をご紹介します。

お寺(寺院)は「仏教」

お寺(寺院)は仏教のための宗教施設で、僧侶や尼僧が住み、仏道の修行を行っています。本殿には「本尊」と呼ばれる仏像や曼荼羅が据えられ、信仰の対象となっています。本尊以外の仏像や掛け軸なども祀られ、文化を保存・継承する場となっているお寺もあります。かつてお寺は仏の教えを民衆に伝え、民衆の苦しみを救う教育と福祉の場で、生活の中心にありました。今日では、葬儀や墓参りの機会に足を運ぶほか、観光スポットとして訪れることも多くなっています。

神社は「神道」

神社は、日本発祥の民俗宗教である「神道」の宗教施設で、自然や「古事記」「日本書紀」に登場する古代の神々や皇族などを祀っています。仏教と大きく違うのは、教祖や経典がなく、また像を信仰の対象としていないこと。死を汚れとしているのでお墓はなく、お葬式も行われません。神に仕える神主や巫女が「祭祀」を行い、神々と民衆をつなぐ役割を持っています。

神社の名称には「大社」「宮」「神宮」などがあり、平安時代初期の「延喜式神名帳」には、492の神社が大社として記されています。かつては「大社」は出雲大社を指していましたが、その後「熊野大社」「諏訪大社」「春日大社」などの規模が大きな神社も大社の称号を使うようになりました。「宮」は天皇家の親王や歴史上の重要人物を祀り、「神宮」は、天皇、皇室の祖先や天照大神をはじめとした神様を祀っています。

建築から見るお寺と神社の違い

そもそもの成り立ちが違うように、建築様式にも大きな違いがあります。

まず入り口には、お寺には「山門」が、神社には「鳥居」があります。お寺の山門には「仁王像」があり、神社の境内には「狛犬」があります。お寺の屋根は瓦葺きですが、神社は茅(かや)、檜(ひわだ)、柿(こけら)など、自然由来の材料で作られています。お寺は装飾が施されて重厚感が感じられる造りになっているものも多いですが、神社は比較的シンプルな形状です。

お寺と神社のお参り方法の違い

基本的なお参りの作法も違いがあります。お寺では、まず山門で一礼してから門をくぐり、手水舎があれば水で手や口をすすぎ、参拝前に清めましょう。ろうそくや線香があれば献灯と献香をして、煙で身を清めてから本堂に進みます。軽く一礼してお賽銭を入れ、上からぶら下がっている音を鳴らす鰐口があれば鳴らします。拍手はせずに合掌し、再び一礼します。最後に山門を出る際も、本堂に向かって一礼しましょう。

神社では、鳥居の前で一礼します。参道は神様の通り道なので、端を歩くようにします。手水舎で手と口を清め、拝殿にお参りします。お賽銭を入れた後に、鈴があれば鳴らして「二礼二拍手一礼(二拝二拍手一拝)」。帰るときは、鳥居の前で本殿に向かって一礼します。

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